反回神経

反回神経(はんかいしんけい、ラテン語: Nervus laryngeus recurrens)は、胸腔内で迷走神経から分枝した神経で、右は鎖骨下動脈、左は大動脈弓(正確には動脈管索)を前方から後方へ回り、気管食道の間の溝を通って喉頭へ行く[1]。気管には気管枝、食道には食道枝を送る。第6頸椎の高さで終枝である下喉頭神経を分枝し、下咽頭収縮筋を貫いて喉頭筋と喉頭下半分粘膜にも枝を送る。心臓にも下心臓枝を送る[1]

反回神経麻痺

甲状腺のすぐ後ろを反回神経が走っているので、甲状腺切除などの手術で神経が損傷すると嗄声や会話時の息切れを起こす。これは反回神経が声帯を動かす筋肉を支配しているからである。同様のことは食道の手術の際にも起こりうる。反回神経が損傷しているかどうかはファイバースコープで声帯の動きを観察して判断される。

支配筋

脚注

  1. ^ a b 解剖実習の手びき 南山堂発行 ISBN 978-4-525-10311-8
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頭頚部の神経脳神経とその
嗅神経 (AON->I)

嗅球・嗅索

視神経 (LGN->II)

視交叉・視索

動眼神経 (ON, EWN->III)

上枝 (毛様体神経節副交感根/毛様体神経節)・下枝

滑車神経 (TN->IV)

(著明な枝はない)

三叉神経 (PSN, TSN, MN, TMN->V)

三叉神経節・眼神経上顎神経下顎神経

外転神経 (AN->VI)

(著明な枝はない)

顔面神経 (FMN, SN, SSN->VII)
起始部付近
顔面神経管

大錐体神経 (翼口蓋神経節)・アブミ骨筋神経・鼓索神経 (舌神経/顎下神経節)

茎乳突孔

後耳介神経・舌骨上筋 (顎二腹筋/茎突舌骨筋)・耳下腺神経叢 (側頭/頬骨/頬筋/下顎/頚)

内耳神経 (VN, CN->VIII)

蝸牛神経 (ラセン神経節 (蝸牛神経節)/第四脳室髄条/外側毛帯)・前庭神経 (スカルパ神経節)

舌咽神経 (NA, ISN, SN->IX)
頚静脈窩の中枢側

神経節 (上神経節/下神経節)

頚静脈窩の末梢側

鼓室神経 (鼓室神経叢/小錐体神経 (耳神経節副交感神経根)/耳神経節)・茎突咽頭筋枝・咽頭枝・扁桃枝・舌枝・頚動脈洞

迷走神経(NA, DNVN, SN->X)
頚静脈窩の中枢側

神経節 (上神経節 (頚静脈神経節)/下神経節 (節状神経節))

頚静脈窩の末梢側

硬膜枝・耳介枝

頚部

咽頭枝 (咽頭神経叢)・上喉頭神経 (外枝/内枝)・反回神経 (下喉頭神経)・上頚心臓枝

胸部

下心臓枝・肺枝 (気管支枝)・迷走神経幹 (前幹/後幹)

腹部

腹腔枝・腎枝・肝枝・前胃枝・後胃枝

副神経 (NA, SAN->XI)

延髄根・脊髄根

舌下神経 (HN->XII)

舌枝

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