サーブ・93

曖昧さ回避 この項目では、1955年に発表された乗用車について説明しています。1990年代に登場したサーブ・900の後継車については「サーブ・9-3」をご覧ください。

サーブ・93スウェーデンの航空機メーカー・サーブの自動車部門(現サーブ・オートモービル)が1956年から1960年まで製造した乗用車である。サーブ・92の改良型として、2サイクルエンジン前輪駆動方式、シクステン・セゾンによる空力的な車体デザインを継承しつつ、各部に改良が加えられた。

概要

93のエンジンルーム
エアクリーナーはノンオリジナル

2サイクルエンジンはDKW出身の技術者によって開発された新しい直列3気筒となり、搭載方法も縦置きに改められ、デフが車体中心線上となった。排気量は748ccと92よりやや小さくなったが、最高回転数が上がったため、最高出力は33馬力に強化された。スロットルアクセルペダル)全閉時のエンジン焼きつきを防ぐフリーホイール機構(ワンウェイクラッチ)も引き続き採用されているが、室内にノブが設けられ、走行中でも無効・有効の切り替えが可能となった。

ラジエーターの位置は相変わらずバルクヘッド側で、冷却水の循環も対流式のままであった。これらは寒冷な気候北欧では非常に都合が良かったが、輸出先の気温が高い地域では、特に低速時のオーバーヒートが問題となった。

デザイン的には縦型の大きなラジエーターグリルと、拡大されたリアウインドウが特徴となっている。サキソマット自動クラッチキャンバストップも選択可能であった。

海外への輸出も93の代になって本格化し、アメリカ合衆国にも多数が輸出された。ただし当時の日本外国車輸入が厳しく制限された時期に当たり、サーブの輸入は途絶えていた。

モデルの変遷

1957年型からは前席2点式シートベルトがオプションで装備可能となった。同年9月には改良型の「93B」が登場し、フロントウインドシールドが二分割式から一枚ガラスに変更された。1959年後半には再び改良を受けた「93F」となり、ドアが「GT750」と同じ前ヒンジに改められた。また、同年にはワゴン95も追加されている。

1960年には後継モデルの96が登場するが、93も継続生産され生産を終了した。累計生産台数は52,731台。

:1959年型 93B
:GT750のインパネ
:GT750のシート

モータースポーツでの活躍

ラリー装備の1959年型GT750

軽量、高い車体剛性、優れたロードホールディング性や空力特性を生かし、小排気量ながらモータースポーツでも大きな成功を収めた。

名手エリック・カールソンの運転により、 1957年ラリー・フィンランド1959年スウェディッシュ・ラリーに優勝するなど、93は特に北欧圏のラリーで活躍し、サーブという新しいメーカーの名を高めた。

また、1957年ミッレミリア750ccクラス優勝、1959年ル・マン24時間レースでのクラス2位・総合12位入賞など、耐久レースでも好成績を残している。

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