くし型関数

周期 T のくし型関数。

くし型関数(くしがたかんすう、: comb function)は、デルタ関数を一定の間隔で並べた超関数

comb T ( x ) = n = δ ( x n T ) . {\displaystyle \operatorname {comb} _{T}(x)=\sum _{n=-\infty }^{\infty }\delta (x-nT).}

ここで T は周期、δ はデルタ関数である。

様々な呼称があり、キリル文字の “Ш" の形に似ているためシャー関数 (shah function)、あるいは関数の性質から周期的デルタ関数とも呼ばれる。

くし型関数を通常の関数と見た場合、デルタ関数と同様、以下のように振る舞う。

comb T ( x ) = { ( x = n T ) 0 ( x n T ) . {\displaystyle \operatorname {comb} _{T}(x)={\begin{cases}\infty &(x=nT)\\0&(x\neq nT)\end{cases}}.}

連続関数との積を取ることにより、一定間隔で離散化サンプリング)した数値列を得ることができるわけではない(クロネッカーのデルタ関数と混同しないこと)。 連続関数と積を取った後、積分を行うことで、積分を一定間隔値の無限和に変換する性質を持つ。サンプラーのモデルとしても扱われる。

特徴

くし型関数のフーリエ変換はくし型関数になる[1]

F ( δ T ) = 2 π T comb 2 π T ( ω ) {\displaystyle {\mathcal {F}}(\delta _{T})={\frac {\sqrt {2\pi }}{T}}\operatorname {comb} _{\frac {2\pi }{T}}(\omega )}

ただしフーリエ変換すると周期が T から /T になる。 なお当然のことながら、積分を使わない離散フーリエ変換をくし型関数に定義することはできない。

以下のポアソン和公式が成り立つ[1]

1 T comb ( x T ) = n = δ ( x n T ) = 1 T m = exp ( 2 π i m x T ) {\displaystyle {\frac {1}{T}}\operatorname {comb} \left({\frac {x}{T}}\right)=\sum _{n=-\infty }^{\infty }\delta (x-nT)={\frac {1}{T}}\sum _{m=-\infty }^{\infty }\exp \left({\frac {2\pi imx}{T}}\right)}

参考文献

  1. ^ a b Williams, Earl G. 著、吉川茂、西條献児 訳『フーリエ音響学』シュプリンガーフェアラーク東京、2005年、9頁。ISBN 4-431-71174-0。